3月19日〜21日まで、米国・ボストンで開催された「Seafood Expo North America」、通称「ボストン シーフードショー」。昨年の出展者数は約1300、来場者は2万600人。最大級の展示会として、毎年、世界中から水産関連企業とバイヤーたちが集まり、おおいに賑わいます。
山菱水産も、日本貿易振興機構(ジェトロ)が設置した国内企業ブースの一画に初出展。その模様を、商品部・三瓶がリポートします!
今回、海外向けに紹介した商品は、国内で人気の高い「旨身まぐろ®」シリーズ。北米のニーズに合わせて、レアステーキ用、ポキ丼用、タルタル用をリリースしました。
まぐろの品質を保つためには-50℃以下の超低温温度帯が必要ですが、海外ではこの温度帯を保って流通させることが困難。米国で家庭用に販売されるまぐろは、劣化しても赤い色を保つCOまぐろ(※)が主流のようです。しかし山菱水産は、現地の卸売業者と連携し、主要都市に超低温冷凍庫を確保することで、低温を保ったままスーパーやレストランに毎日配送できる物流を確立。日本と同様、化学的な処理をしていない、新鮮で安全なまぐろの提供を可能にしました。
ブースを訪れたバイヤーたちはみな、「これはスーパーフローズン(超低温冷凍)のまぐろかい?」「安心して食べられる安全な素材を探していたところなんだ」と興味津々。試食に、ポキ丼用を特製ソースにからめて提供すると、口々に「すごくうまい!」「すばらしい!」「食感がいいね!」「ソースがとてもマッチしてる」「このスパイスは何?」などの嬉しいコメントをいただき、とても励みになりました。
新鮮でおいしく、そして安全なこと。国は変われど、大切なことはどこに行っても同じなんです。
※COまぐろ:発色をよくするために一酸化炭素処理されたまぐろのこと。日本では禁止されている。劣化しても変色しないため、品質の分別が難しい。
会場の雰囲気は国際色豊か。出展者はもちろん、来場者からも意気込みが感じられます。サーモン、まぐろ、えび、ロブスター、貝類のブースが多く、SUSHI用の提案もたくさんありました。SUSHIレストランは、ブームの時代を過ぎ、すでに定番となっているようです。
来場者の興味を引き付けるよう、ブースの構成やサンプルの展示の仕方もよく考えられていて、パッケージもおしゃれ。商品のアピールポイントもはっきりとわかりやすい工夫が見られました。
そんな中、ジェトロの「JAPAN PAVILION」は少々地味な印象。しかし、シンプルな日の丸モチーフの看板、白木を組んだだけの屋根は、新鮮な素材が持つ魅力をストレートに活かす「和食」を彷彿とさせました。実際に日本の水産物への信頼の高さは根強く、メイド・イン・ジャパンのブランド力は健在です。
滞在中、現地の取引先の方に、地元で人気だという「Luke’s Robster」というレストランへ連れて行ってもらいました。ロブスターロールは、表面をパリッと焼いた小さめのパンに新鮮なロブスターをたっぷりとはさんであり、絶品! クラムチャウダーも、さすが本場のおいしさでした。
宿泊は、会場近くのコンドミニアム。私と社長、北米エリアで山菱の商品の販売に協力いただいている企業の担当者2名の男ばかり4人でシェアしたのですが、部屋は広々として清潔。料理上手な社長が作るディナーもおいしく、快適で楽しい4日間でした。
また、買い物ついでにコンドミニアムの近くにある大型スーパー2軒の視察もできました。水産コーナーで幅を利かせているのは何といってもサーモン。ノルウェー産、チリ産、カナダ産と産地別に平台が設置されていて、圧倒されるほどの量でした。
ほんの数日の滞在でしたが、SUSHIが定着した米国内でも、魚介類はあくまでも加熱して食べるのが一般的で、一部の本格的な和食レストランを除けば、日本と米国では流通している水産物のクオリティの違いは歴然としていることが分かりました。山菱水産の使命は、高品質でスーパーナチュラルなまぐろを介して、海外で本物の和食文化の普及に一役買うこと。その思いを胸に帰国の途についたのでした。