8月1日、日本財団が主催する「Sea級グルメスタジアム 」が開催されました。
これは福島県、愛媛県、山口県の3県で、小学生たちに地元の海の現状や課題、水産業の特色を伝えて海への関心を深めてもらうための海洋体験学習です。
福島県では、好間第二小学校の6年生28人が参加し、会場はいわき海星高校。山菱水産は地元の水産業者として協賛しました。
この日に行われた学習は、福島県の海の特徴や海洋環境についての「まなび」、
いわき海星高校の目の前に広がる下神白海岸で海と触れ合う「たいけん」、
そしていわき海星高校の実習船「福島丸」のまぐろを使った商品を調理・試食し、
グループごとにラベルデザインと商品名を発表する「ものづくり」の3本立て。
盛りだくさんの内容で、朝9時から午後4時までの長丁場でしたが、ときに真剣、
ときに楽しそうな笑顔を見せる小学生たちの表情が印象的でした。
では実際の学習のようすを、もう少し詳しくご紹介しましょう。
福島県沖は、黒潮と親潮がぶつかる潮目の海。一帯で穫れる海産物は「常磐もの」として築地市場でも高く評価されています。しかし、東日本大震災と福島第一原発の事故により、県内の水産業は壊滅的な被害を受けました。
その後、漁港の整備や試験操業が進み、主な魚種の出荷制限が解かれ、漁が復活していますが、水揚量は震災前の4分の1程度まで減っています。
福島県の海水浴場も震災で大きな被害を受け、その多くが海開きを自粛しています。
2018年に海水浴場として海開きされたのは、昨年と同様にいわき市の四倉海水浴場、薄磯海水浴場、勿来海水浴場。そして震災から7年目で海開きが叶った相馬市の原釜尾浜海水浴場の、合わせて4ヶ所です。
校内での「まなび」の後には、海岸に出て実際に海を感じる「たいけん」の時間です。
あまり知られていませんが、下神白海岸は「鳴砂(なきすな)」の浜。
読んで字のごとく、踏みしめると「きゅっ、きゅっ」と音が鳴る砂のことで、
少しでも不純物が混じっていると音がしないのだとか。
つまり、海の環境のバロメーターでもあるのです。
かつては日本の砂浜のほとんどが鳴砂だったといわれますが、
現在は海の汚染や開発が進み、20ヶ所ほどにまで減ってしまっているそうです。
海岸から戻ると、海で採取した海水の汚染度を調べます。
海の水と川の水を比べると、下神白海岸の海水が、いかにきれいかが実感できました。
その後は、「美しい海を守るために何ができるか」をグループごとに考え、
水を汚さないために心がけたいことを発表しました。
にぎやかな昼食タイムが終わると、
午後からは地元の水産業社である山菱水産とこどもたちとの商品づくりです。
まずは「福島丸」のまぐろの水揚げから山菱水産での加工、そして地元のスーパー「マルト」での販売までの様子を動画で紹介。
その後、今回のイベントに合わせて開発された山菱水産の「ひとくちまぐろカツ」を小学生たちと一緒に調理しました。
試食をしたら、グループごとに商品名とラベルデザインを考案。
どのグループも、小学生ならではのユニークなセンスが光る素晴らしいアイデアを発表してくれました。
商品名は最後にこどもたちによる多数決で決定され、
ラベルデザインは、みんなが描いてくれたイラストを組み合わせて作成されます。
そして10月には、各県のオリジナル商品の販売競争イベントが、都内で開催されるそうです。
ほかの県からどんなオリジナル商品が出てくるのか、非常に楽しみです。